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【電子工作向け】基板配線に使うケーブル(電線)の選び方
今回は、電子工作で基板配線するときに使うケーブル(電線)選びのポイントを紹介します。
「ケーブルの種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からない」
「AWGとかUL規格って何?」
とお悩みの方、ぜひ参考にしてみて下さい。
※この記事では「ケーブル」と「電線」を同じ意味で使用しています(本来は電線を束ねたものがケーブル)
目次
「耐熱電子ワイヤー」を選ぶ
基板配線には、はんだづけを使った作業が伴います。
そのため「耐熱電子ワイヤー」と商品パッケージに書いてあるケーブルを選んでください。
耐熱電子ワイヤーとは、電子線照射架橋(耐熱性・強度を上げるための化学反応)を施したワイヤー(単線もしくは撚り線)のことです。
耐熱電子ワイヤーは、はんだごての熱に強く、曲げ加工しやすいほどよい硬さがあり、基板配線がしやすいケーブルです。
もし他の普通のケーブルを選んでしまうと、はんだごての熱に耐えられず、被覆が剥けてしまうことがあるので、ご注意ください。
必要な耐圧・許容電流から「ケーブルの太さ」を決める
ケーブルの太さは「AWG」という規格で示されています。
サイズ | 外径 | 耐電圧 | 許容電流 |
---|---|---|---|
AWG32 | 0.54mm | 250V | 1.5A |
AWG30 | 0.70mm | 500V | 2A |
AWG28 | 0.98mm | 1500V | 3A |
AWG24 | 1.21mm | 1500V | 7A |
AWG22 | 1.36mm | 1500V | 9A |
AWG20 | 1.54mm | 1500V | 12A |
※上記の表は協和ハーモネットの耐熱電子ワイヤーを元にした参考値です。
AWGの後に続く数字が小さいほどケーブルは太くなります。
太いケーブルの方が許容電流は大きくなりますが、良いことばかりではありません。
それぞれメリット・デメリットがあります。
- ケーブルが細すぎると ・・・ 耐久性の低下・電気的特性が悪くなる(電流が小さくなる)
- ケーブルが太すぎると ・・・ 加工しにくい・場所を取る・値段が高くなる
電子工作に使用するのであれば「AWG28」の許容電流で十分です。
細さも、ちょうど良いくらいです。
配線量が多くなると、太い配線はジャマになるし、ケーブル代も余計に掛かってしまいます。
配線に使う「色」を決める
基板配線するときのケーブルの色には、厳格なルールは存在しません。
ある程度のならわしみたいなものはありますが、
- 電源(+) → 赤
- GND(-)→ 黒
以外は特に決まっていません。
自分が分かりやすい色を選べばOKです。
ちなみに私の場合、
- 電源(+)→ 暖色系(赤・黄・橙)
- GND(-)→ 寒色系(黒・青・緑)
- 信号ライン → 白・紫・灰・茶
と使い分けています。
基板配線におすすめのケーブル
基板配線に使うケーブルの選び方を元に、代表的なケーブルを2つ紹介します。
耐熱電子ワイヤー 1429 AWG28(KYOWA)
UL1429 AWG28 耐熱架橋ビニル絶縁電線 2mX10色(協和ハーモネット) - Amazon
KYOWA(協和ハーモネット株式会社)の耐熱電子ワイヤーは、「耐熱架橋ビニル」もしくは「難燃架橋ポリエチレン」を被覆の素材に使用したケーブルです。
- 耐熱架橋ビニル ・・・ 架橋(耐熱性・強度を上げるための化学反応)したPVC(ポリ塩化ビニル)
- 難燃架橋ポリエチレン ・・・ 燃えにくく(難燃)、PVCのような有毒ガスが発生しない
アメリカ安全認証の基準を示す「UL規格適合品」となっており、信頼性も高い高品質なケーブルです。
特に安全性を重視したい回路での配線にオススメです。
- UL3265(AWG20/ AWG22 / AWG24)
- UL1429(AWG28) ← オススメ
- UL1571(AWG30)
- UL3417(AWG32)
太さのバリエーションも豊富です。
ホームセンターでも販売しており、入手性の良さも大きな特徴です。
【耐熱電子ワイヤー】イラックスA 絶縁電線 AWG28(住友電工)
耐熱電子ワイヤー 1m×10色(AWG28相当)- 秋月電子通商
「イラックスA」は、住友電工が販売している電線のブランド名です。
協和ハーモネットのケーブルと同じように電子線照射架橋によって、耐熱性・強度を上げたケーブルです。
値段の安さ重視なら、こちらのケーブルがオススメです。
一般的な電子工作であれば、このケーブルでも十分です。
私もこのケーブルを使うことが多いです。