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ブレッドボードでは動いたのに・・・回路が動かないときの原因と対処法
「回路の開発が終わったぞ!」
「あとは、ユニバーサル基板に同じ回路を実装すれば完成だ!」
と思っていたのに・・・
なぜだ・・・? 動かない・・・。
ということで今回は、
『ブレッドボード上では正常に動いたのに、本番実装したら回路が動かない』
というときの原因と対処法について紹介します。
『ブレッドボードで組んだ回路』と『ユニバーサル基板に実装した回路』、実体的には同じものです。
ところが、電気的に見ると少し違います。
例えるなら、『土壌』が違う感じでしょうか。
『沖縄』と『北海道』、同じ日本の土地ですが、土壌が違います。
同じ作物を育てても、うまく育たない可能性が高いです。
同様に、ブレッドボード上で動いていた回路をそのまま他の基板に移しても、動かないことがあります。
たまたま、その回路とブレッドボードがマッチしていただけ。
部品のレイアウトやケーブルの引き回しなどが、偶然、良い方へと転んでいた可能性が高いです。
1.GNDが弱い
「デジタル回路だから大丈夫」「直流回路だから影響ないでしょ」と言って、GNDを疎かにしていませんか?
GNDは『電圧の基準点』『電流の戻り経路』として、重要な役割を担っています。
GNDが弱いと、流れ込んできた電流がGND内に滞ってしまいます。
その結果、GNDの基準電圧が高くなってしまい、回路内に様々な悪影響を及ぼします。
例えば、GNDの一部において、基準電圧0Vを維持できず、1V上昇してしまったとします。
電源として1.5Vの乾電池を繋いでいたとすると、GNDとの電位差は0.5V(1.5V – 1V)
つまり、この回路には0.5Vの電圧しか、かかっていません。
もし定格電圧が1Vのモーターを繋いであったとしたら、モーターが動かないか、もしくはパワー不足が生じることでしょう。
GNDを強くするには、老廃物を流す排水管のようなイメージで、とにかく広く・大きく確保して下さい。
細い線でGNDを数珠繋ぎしても、全く処理が追いつきません。
また、GNDは外部からのノイズを防ぐ『シールド』としても働きます。
大きな電流を消費するモーターやモータードライバ周辺、繊細な信号を扱うセンサ周りなどは、ノイズの影響を受けやすいです。
ブロックごとにGNDで囲み、ノイズから保護して下さい。
2.配線が細すぎる
ケーブルの銅線が太いほど電流は流れやすく、細いほど流れにくくなります。
よって、モーターやスピーカーなど、大きな電流が流れる配線には、太めのケーブルを用いる必要があります。
もし、大きな電流が流れるところに細いケーブルが使用されていると、必要な電流を流すことができず、本来の力を発揮できません。
ケーブルは太ければ太いほど、良い結果が得られます。
ただし、太いケーブルは「値段が高い」「曲げにくく引き回しにくい」などのデメリットもあります。
「大きい電流が流れるか?」を基準に、細いケーブルと太ケーブルを使い分けて下さい。
3.プルアップ・プルダウン抵抗が付いていない
プルアップ抵抗・プルダウン抵抗は、初期値を設定するためのものです。
このプルアップ(プルダウン)抵抗が付いていないと、「0」なのか?「1」なのか?信号の判断が付きません。
その結果、マイコンやICが動いたり動かなかったり、不安定な動作を起こしてしまいます。
スイッチング制御などで、[0]と[1]を切り替えるラインでは、プルアップ・プルダウン抵抗を。
制御しない未使用ピンは、必ずGND(もしくは電源)に接続して、浮いてるピンがないように処理してください。
4.パスコンが入っていない
パスコン(バイパスコンデンサ)は、ノイズの吸収・一時的な電力不足を補うために取り付けるコンデンサです。
今回のようなトラブルの場合、何らかの原因で、部品が必要とする電力を十分に供給できていない可能性があります。
PICのような小型マイコン・ロジックICには、積層セラミックコンデンサ『0.1μF』
スピーカーやモーターなど大電流を消費するところには『100μF~470μF』を、電源ピンとGNDピンの間に接続して下さい。