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遅延ワンショット回路
時間を遅らせてパルスを出力する「遅延回路」
一回だけトリガーパルスを出力する「ワンショット回路」
この2つを組み合わせたのが、装置の起動を待ってからパルスを出力する「遅延ワンショット回路」です。
もっとシンプルにできると思っていたのですが、調整に結構な時間を取られてしまいました。
遅延時間の精度や波形の歪みなどあり、胸を張って公表できるレベルではありませんが、一応狙い通りの動きはするので技術情報として残しておきます。
素直に「リレーモジュール」や「555タイマーIC」、せめて「ロジックIC・74HC123」を利用する方が確実です。
目次
ワンショット回路
電源投入後、一回だけHIGHパルスを出力する回路です。
コンデンサの充電が満タンになるまでの時間だけトランジスタがONになり、出力(OUT)が導通します。
部品の役割
- C1:充電と放電をコントロールして、タイマー代わりするためのコンデンサ
- R1:電源をOFFにしたとき、C1に溜まった電荷を放電してリセットするための抵抗
- R2:ベースに残った電流をGNDに流して、トランジスタをオフにするための抵抗
- R3:ベースに流れる電流を制限して、トランジスタを保護するための抵抗
動作解説
電源(5V)を投入すると、コンデンサの充電がスタート。
コンデンサに電荷が溜まると、コンデンサの両端の電圧が上昇。
約0.6Vを超えたタイミングでトランジスタがON。
コレクタ(C)とエミッタ(E)が繋がり、OUT(-)とGNDが導通することで、パルスとして出力。
数ミリ秒後、コンデンサの充電が満タンになると、コンデンサのラインに電流が流れなくなる。
トランジスタもOFFになり、OUTには何も出力されなくなる。
パルス長の調整方法
コンデンサの容量を大きくする
遅延回路
電源投入後、少し遅れてHIGHパルスが出力される回路です。
コンデンサの充電が満タンになるまで、トランジスタはONになりません。
コンデンサの充電が満タンになると、トランジスタに電流が流れてONになり、出力(OUT)が導通します。
部品の役割
- C1:充電と放電をコントロールして、タイマー代わりするためのコンデンサ
- R1:電源をOFFにしたとき、C1に溜まった電荷を放電してリセットするための抵抗
- R2:コンデンサに流れる電流を絞って、充電時間を長くするための抵抗
- R3:ベースに流れる電流を制限して、トランジスタを保護するための抵抗
動作解説
電源(5V)を投入すると、コンデンサ側にだけ電流が流れて充電がスタート。
コンデンサの充電が溜まってくると、トランジスタ側にも電流が流れるようになり、トランジスタがON。
コレクタ(C)とエミッタ(E)が繋がり、OUT(-)とGNDが導通することで、パルスとして出力。
遅延時間の調整方法
- トランジスタC1の容量を大きくする
- 抵抗R2の値を小さくする
注意事項
遅延回路は、電源をオフにした後にコンデンサの放電を行いますが、完全に放電されるまでに時間を要します。
コンデンサに電荷が残ったまま再度電源を入れると、遅延時間は短くなります。
遅延ワンショット回路
遅延回路の後にワンショット回路を追加した回路です。
電源投入後、少し時間を空けてHIGHパルスが一回だけ出力されます。
今回は『音声再生モジュール(DFPlayer Mini)』に組み込みました。
マイコン不要!単体でMP3が再生できる『DFPlayer Mini』の使い方
DFPlayer本体の起動が完了するまで数秒待機してから、音声再生ピン「ADKEY1」へHIGHパルスを一回出力しています。
[起動]+[一曲再生]の一連の動作を自動化しています。
※DFPlayerは長いパルスを送ってしまうと、【長押し】のコマンドと認識され、音声がリピートされてしまいます。
よって、音声再生ピンをあらかじめGNDに落としておく方法は使えず、このような複雑な回路が必要になってしまいました。
動作解説
電源投入後、DFPlayerが起動。
コンデンサC1に充電が溜まってきたら、トランジスタQ1がON(遅延回路)
Q1のコレクタがGNDに繋がり、ワンショット回路に電流が流れ始めます。
コンデンサC2に電気が流れ始めると、充電が溜まるまでの一瞬だけトランジスタQ2がONになり、DFPlayerの音声再生ピンへパルスが出力されます(ワンショット回路)