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【ラズパイの選び方】Raspberry Pi・ZERO・Picoは何が違うのか?
マイコンの中で、最も人気・知名度のあるマイコンが、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
略して「ラズパイ」です。
ラズパイの種類は大きく分けると、3つあります。
Raspberry Pi メインシリーズ
Raspberry Piのメインシリーズです。
- Raspberry Pi 5 ・・・ Raspberry Pi 4Bの性能アップ版
- Raspberry Pi 4B ・・・ 4K対応、最大8GBメモリ
- Raspberry Pi 3A+ ・・・ Bシリーズから有線LANポートを省いた小型モデル
- Raspberry Pi 3B+ ・・・ 3Bの後継機。5GHz帯無線・有線速度300Mbps
- Raspberry Pi 3B ・・・ 2Bの後継機。2.4GHz帯無線・Bluetooth対応
「家電量販店で5万円くらいで購入できるパソコンから、ケースとか有料OSとか余計なものを取っ払い、中身だけを取り出したもの」
と思っていただければ、分かりやすいかと思います。
実際このシリーズを選ぶ方は、電子工作用ではなく、自作パソコン用として購入したり、自宅サーバーに使用することが多いです。
しかし、普通のパソコンとは違うのが「GPIO」を搭載していること。
電子工作では、このGPIOにモーターを繋いで制御したり、センサーからの信号を受け取るときに使用します。
また他のマイコンと違って、OSをインストールして使用するところも大きな特徴です。
※OSとは?
OSとは、コンピューターを制御するためのソフトウェアです。
「Windows10」や「Mac OS」という言葉を耳にしたことがあるとは思いますが、これがOSです。
ラズパイには「Raspberry Pi OS」というOSが用意されています。
OSには、人間が直感的に操作しやすい画面が用意されていたり、さまざまなソフトを簡単にインストールすることができる機能が用意されています。
例えば、エクセルの互換ソフトをインストールしたり、合成音声を読み上げるライブラリをインストールできるのは、OSを搭載しているラズパイだからできること。
Raspberry Pi OSは、オープンソースのLinuxがベースとなっているため、Linux向けに開発されたさまざまなソフトウェアを利用することができます。
つまり、OSを搭載していることで、幅広い制御が可能になります。
ところが、OSを動かすためには、それなりに高いスペックが必要となります。
逆に電子工作では、それほど性能を必要としません。
よって電子工作だけに使用するなら、ラズパイはややオーバースペックなところもあります。
コストパフォーマンスとしては悪いです。
だからと言って、値段の安い型落ちモデルを選ぶのは勿体ない。
せっかくラズパイを選ぶのならば、最新で搭載メモリMAXモデルを選ぶのがオススメです。
後々やりたいことが増えてたときに後悔せずに済みますよ。
Raspberry Pi 4 Model B (8GB) – Amazon
ちなみにラズパイには、キーボード一体型タイプ(Raspberry Pi 400)もあります。
若干CPU性能はアップしましたが、キーボードの中にラズパイが組み込まれているだけで、特に違いはありません。
GPIOもキーボード背面に用意されています。
Raspberry Pi 400 日本語キーボード – スイッチサイエンス
メインシリーズのメリット
- OS搭載
- 高機能、高性能
メインシリーズのデメリット
- 値段が高い
- サイズが大きい
Raspberry Pi ZEROシリーズ
Raspberry Piシリーズの小型モデルです。
- Raspberry Pi Zero ・・・ Wi-Fi・Bluetooth非対応モデル(スイッチサイエンス)
- Raspberry Pi Zero W ・・・ Wi-Fi・Bluetooth搭載モデル(スイッチサイエンス)
- Raspberry Pi Zero WH ・・・ Wのコネクタ実装済みモデル(スイッチサイエンス)
- Raspberry Pi Zero 2 W ・・・ Wの後継機(スイッチサイエンス)
スペースを占領するパーツ類は取り除かれ、サイズが2/5くらいに小さくなっています。
メインシリーズ同様にOSをインストールして使用するので、簡単な操作で幅広い制御が可能です。
また、Wi-Fi・Bluetooth機能も搭載しているので、無線通信を利用した装置にも利用可能です。
ZEROシリーズのメリット
- OS搭載
- サイズがコンパクト
- 値段が安い
ZEROシリーズのデメリット
- 起動が遅い(※Picoの項目で解説します)
- 動作の安定性に欠ける
Raspberry Pi Pico
Raspberry PiシリーズのOSを使用しないモデルです。
- Raspberry Pi Pico ・・・ 標準モデル
- Raspberry Pi Pico H ・・・ コネクタ実装済みモデル
- Raspberry Pi Pico W ・・・ Wi-Fi対応モデル
- Raspberry Pi Pico WH ・・・ Wのコネクタ実装済みモデル
ZEROよりも更に機能を絞り込み、非常にコンパクトなサイズとなっています。
ただし、他のRaspberry Piシリーズとは違いOSを搭載していないので、できることはかなり限られています。
もちろん、拡張パーツやモジュールを使えば、その壁を取り払うことも可能ですが、その分コストも掛かるし、プログラミング・電子回路の知識もより必要で、難易度はグンと高くなります。
特にラズパイPicoの場合、まだ発売してから年月が経っていないので、インターネット上の情報も少ないです。
サンプルコードやトラブルの対処法など、調べても出てこないことが多いので、初心者の方にはあまりオススメできません。
しかし、悪いことばかりではありません。
ラズパイPicoは、機動性が良いです。
OSが起動するまで待つ必要はなく、電源を入れたらすぐに動かせます。
また、OSのように内部に複雑なタスクを抱えないので、動作も安定しています。
OSがあると、負荷の高い処理が続いたり、予期しないトラブルが起きてしまうことがあり、どうしてもフリーズを起こしてしまう場合があります。
よって、安定性を重視する装置には、ラズパイPicoやラズパイ以外のマイコンで開発するのが良いでしょう。
ラズパイPicoのメリット
- 安定動作
- 値段が安い
- サイズがコンパクト
ラズパイPicoのデメリット
- 用途が限られる
- 開発の難易度が高い